前回の、放浪記<ロンドンホスピタリティ編> → ★
から始まりました「放浪記」。
20年前、約1年間の英国留学生活の中で、
体験したこと、考えたこと、
感じたことを、ご紹介するシリーズです。
今回は、<日本で放浪編>です。
どういう経緯や思いで、留学することになったのか、
これは、きちんと書いてみるといいなと思いましたので、
放浪する前の話ですが、よろしければおつきあいくださいませ。
*****
話は、高校時代にさかのぼりますが、
私は、コーラス部に入部していて、
朝から晩まで歌を歌っておりました。
楽しくて楽しくて、青春を満喫した時代でした。
しかし、進学校だったにもかかわらず、
何をやりたいのか、よくわからないまま
部活に夢中になっていた私には、
今思えば、大きな問題がありました。
「両親が進学に消極的だった」ということです。
手に職をつけて、さっさと仕事に就く。
そんな考えを持っていた両親は、
田舎育ちで、仕事に就くのに、
街へ集団就職するという時代の人でもありました。
ですから、進学校へ行く事にも
反対されたものでした。
手に職が就かないと。(笑)
母が言う幸せな道は、
経理の勉強をする → 事務職員として働く → 結婚する
だったわけです。
私は、全く興味が持てませんでした。
食指が動かないという感じでしょうか。
でも、両親は、それを無理強いするというほどでもなく、
私も、すごく反発するでもなく、反論するほどの材料もなく、
しかし、両親の意向という呪縛に動きが取りにくくなったまま、
うやむやに高校を卒業する時期を迎えてしまったのでした。
唯一、好きだったのは「英語」でした。
そこからは、楽しい未来や、
やってみたいことが思い描けました。
英語が話せるようになりたい。
そうしたら、英語を使った仕事をしたい。
旅行会社とか、ホテルとか(目がキラキラ)
高校卒業後、英語の学校に
行く事にしました。(親は渋々)
しかし、通わせるつもりのなかった学校への
学費は出してもらえたものの、
通学する定期代やお小遣い稼ぎに
バイト、バイトに明け暮れる2年間を過ごしました。
バブル期の就職先は、
いくらでもありました。
やりたいのは、英語でした。
なのに、肝心のコミュニケーションとしての
英語は、さっぱり身に付いていないのでした。
英語を使った仕事の求人には、
敷居が高い気がして、挑戦できないのです。
気後れして、足がすくんでしまうのです。
結局、就職相談の先生がすすめるままに
製造業の輸出課という部署へ就職をしました。
英語を使わない仕事がほとんどでしたが、
英語を使う仕事が、たまに回ってきても、
ろくに出来ないわけです。
自信がなさすぎて、始めから諦めるような感じでした。
昔ながらの社風も窮屈でした。
お茶汲み、コピー、数年勤めて寿退職。
(20年前は別の世界のようですね)
毎日、女子トイレの窓から空を見上げていました。
でも、今思い出すのは、
空というより、窓に付いていた格子でした。
入社して1年が経ち、新入社員が大勢入って来ました。
オフィスも更衣室も雰囲気が変わりました。
新入社員研修の担当にもなりました。
その頃、雨降りの月曜日の朝になると、
通勤電車で、度々倒れるようになりました。
貧血なのかと思い、病院へ行くと、
「自律神経失調症」と言われました。
精神安定剤なるものが処方されました。
私は、ちょっと可笑しくなりました。
私は、もともとお気楽なのです。
「ま、いっか」も得意でした。
悩みという悩みも、ありませんでした。
金曜日になると、同僚との飲み会があり、
週末はデートしたり、合唱団の練習に行ったり、
結構楽しくやっていたのです。
でも、1週間の始まる月曜日になると
なんとも言えない虚無感に襲われ、
これが「ブルーマンデー」だわ、
なんて笑っていたのに、
私の心は、もう一杯一杯で、
全然笑うことなどできなかったのです。
しかし、この出来事は、よいきっかけとなりました。
女子トイレの窓から見ていた
格子の向こうの空へ、
なんとしても行きたいと思えるようになったからです。
そうだ、英語を話せるようになろう。
私は、それがしたかったんだった。
そのことを思い出す事が出来ました。
それからしばらく、仕事は続けていましたが、
「留学する」という明確なビジョンが出来たので
もう月曜日に倒れることはなくなりました。
仕事をしながら、あれこれ準備を始めました。
学校や、費用、ホームステイ先、渡航手続きなど。
そして、入社して3年と少し経った夏。
私は、生まれて始めて、明確な夢を胸に
自分の決断で、仕事を辞め、
留学することにしたのでした。
日本にいて、私の心が、
あてもなく放浪していた時代のお話でした。
思いのほか長くなりました。
お読みいただきありがとうございました。
また、次回、おたのしみに。
池尾千里
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