今日は、私が、ホテルに勤めていた頃の

お話しをさせていただこうと思います。


ホテル業は、なかなか刺激的で、

娘の出産を機に、

12年間勤めたホテルを

退職したのですが、

その12年も、あっというまだったと

感じるほど、面白いものでした。


私が、妊娠したことがわかったのは、

2005年に開催された「愛知万博」が

まさに、開幕するという時でした。


3月のオープンに合わせて、

前年の秋頃から、

準備のための海外のお客さまで

ホテルは、連日満室。


名古屋市内のホテルが

ほとんど取れないので、

予約の問い合わせで、

毎日電話は鳴りっぱなし。

(ネット予約より、電話が主流の時代でした)


そんな超多忙な時期に、妊娠発覚。

そして、発覚したとたん、出血。


病院では、先生がこうおっしゃいました。


「とりあえず2週間安静。

仕事は、お休みしてください。

安静にしていることで、救える命もある。

流産してしまったら、医師は何もできないんだよ。」


初めての妊娠で不安な心に、

その言葉が、重く響きました。


しかし、実際のところ、

どうしようかと思いました。

ホテルは、猫の手も借りたいほど

忙しいのです。


それに、海外のお客さまばかりで、

毎日、フロントでは、

英語が飛び交うという日々でした。


今では、信じられないほどの

語学力になっておりますが・・(もはや試す場所もなし)

当時は、重宝がっていただいていました。


同僚に相談すると、

仕事は、誰か代わりがいるけど

赤ちゃんを守る代わりはいないんだよ。


そう言ってくれました。


ありがたくて、胸がじんとなりました。

そして、同時に私は、

申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。


私は、上司に、事情を話し、

お休みをもらうことになりました。


何度か検診を受け、結局、

4週間もお休みして、やっと、

座り仕事ならOKの許可が、先生から出て、

私は、仕事に復帰しました。


復帰してみると、スタッフ全員、

英語がペラペラになっていました。

海外のお客さまが来るたびに

フロントに駆けつける必要は、皆無でした。


猫の手も借りたい状況は、

変わっていませんでしたが、

仕事は、とてもうまく回っていました。


私は、なんだか、力が抜け、

笑いが込み上げて来ました。


私は、何を一人で、がんばってたんだろう。

いや、がんばってるつもりだったんだろう。


私がいなければ、ホテルは回らない。

そのくらい傲慢な思い込みを持っていたことが

恥ずかしいやら

馬鹿馬鹿しいやら

可笑しいやら


流産するかもしれないという大事な時に

そんな思い込みに、

飲み込まれそうになっていたことにも

その時、初めて気が付きました。


でも、4週間お休みしている間に、

私もやっと、妊娠をきちんと受け止められたようでした。

そのことで、理解できたことがたくさんありました。


私が、誤った思い込みで、無理をすると

却って、みんなに迷惑をかけてしまうこと。

みんなが心を痛めること。


つい自分に、いつもしわ寄せをさせて来た私には、

それは、大きな気づきでした。


その後、退職する直前まで、

「愛知万博」は開催されていたので、

ずっと忙しい状況は変わりませんでした。

そして、お腹がどんどん大きくなる私には

出来ないことばかりが増えていきました。


でも、職場のみんなからの、優しさや温かい心遣いに

「ごめんなさい」ではなくて

「ありがとう」と感謝できるようになりました。


それは、とてもシンプルで

心が軽やかな日々でした。



勤務最後の日。

主人は、東京にいて留守でした。

誰もいない家に帰るのがいやで、

その足で、東京行きの

新幹線に乗りました。


席に腰掛けると、

寂しい気持ちでいっぱいになりました。


涙が出そうで、

意識を他に向けようと

鞄の中をかき回すと、


帰り際にもらった

いつも元気な年下の同僚の

手紙が入っていました。


読み進めていくうちに

涙と笑いが

同時に溢れそうになりました。


全部、バレていました。

あの思い込みが。


私が気づくより、

ずっと前に。


みんな、助けてくれようとしていて

なのに、私は、

独りよがりな思い込みの中にいて

ハムスターのくるくる回るやつみたいに

一生懸命、くるくるくるくる、

同じところで回ってたのかもしれません。


ものすごく大きな

「ありがとう」が

込み上げてきて、

すっかり泣き始めた私は

隣に座っていた方が

心配してくださるほどでした。


今、思い返せば、

なつかしい笑い話です。


一生懸命で、

不器用で

ちょっといじらしい、

8年前のお話しでした。



みなさんの中にも

みなさんの周りにも

そんながんばり屋さんが

今日もくるくる

がんばっているかもしれません。


ただ気が付いてあげてください。

いつか笑い話になるように。



お役に立てれば、うれしいです。


池尾千里



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